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ジャガーノート

本や音楽の話を書いていこうと思います。

シャクルトンの大漂流

読書

冒険のあらゆるエッセンスがすべて詰まっている。

石川直樹(写真家)

 

 

シャクルトンの大漂流

 

 「シャクルトンの大漂流」

全72ページの大作である。文字は小さめで、ふりがなも少ない。小さな子がひとりで読むのは難しいかも知れない。そもそも、あまりこども向けに書かれているようには見えない。

 

ストーリーは意外にも資金集めから始まる。いきなりお金の話。次に隊員の募集、面接の様子と続くドライな要素に、浮き足立った気分は肩透かしを喰らう。

 だが続いて見開きで隊員の一覧がある。このページには何度も立ち帰ることになると思う。何せ登場人物がべらぼうに多い。人名が出るたびに「この人、なにやってる人だっけ?」ってなる。28人の隊員一覧から目当ての人物を見つけ出すのは、ちょっとしたウォーリーを探せ状態だ。そして見返すたびに新たな発見があるのが楽しい。「そういえばこの人、こんなアイテム持ってたな」とか、「このパーティーは○○スキルが高いメンバーを抜擢したのか!」とか。(新しめの絵本なのでネタバレを自粛しています)

 デフォルメの効いた絵でありながら、道具や持ち物、船の構造まで、こまごまと描き込まれているのがおもしろい。南極でのなごやかな日常も魅力的で、ちょっと『十五少年漂流記』を思わせる。

 

 圧巻なのは、見開きで描かれる大自然の臨場感。視点を自在に操るような見事な構図は必見だ。ぶ厚い氷が埋め尽くす海や黒い嵐に、氷と船の軋む不吉な音を想像してしまう。

本を閉じることで物語の過酷な状況から逃れ、平和な現実に帰る安堵の感覚が好きだ。かつて『刑務所のリタ・ヘイワース』や『イワン・デニーソヴィチの一日』の合間に燻らせた煙草を思い出しながら、そっと絵本から目を逸らし、深呼吸をする。

 

膝に乗せたこどもにせがまれ、ページをめくる。続きが気になって仕方がないのだ。結局、一気に読み終えてしまった。

 

 

この絵本を読んで感じるのは、作者ウィリアム・グリルの作品に対する生真面目さだ。絵も文章もとても丁寧で、丹念な取材が想像される。造船の大工道具ひとつ取ってもこんな様子なのだ。

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こまかい。

 

B4版の大きな紙面を活かし、迫力の見開きを繰り広げたかと思えば、上のような資料的なイラストを仔細に並べてみせたりする。このような絵のダイナミクスは、本書の大きな特徴のひとつだろう。

もう一点特筆したいのは、青がとてもきれいなこと。タイトルや見出し文字の微妙なグラデーションがなんともかっこいい。

絵と文とのバランス感覚も絶妙で、絵で示すこと、文で記すことの選択がうまい。情報量が多いのに簡潔、という新感覚。絵本でこんな表現が可能だったのかと思わせる一冊。

 

 

これがウィリアム・グリル初の絵本だって。

天才か。

 

当然おすすめです。

 

 

電気のピアノにお掃除ロボット

楽器 音楽 工作

「エレピあったらよくない?」っていう話を友達が振ってきた。エレピか。ずいぶん唐突だな。

「ローズとかウーリッツァーとか、中古が意外と安いんだよ。エレキギターなんかは、ギターもアンプもペダルも、って集めていくとけっこう高いじゃんか。でもエレピはモデルによってはもうそれ1台で完結するからさ」

なるほど。確かに一理ある。検索してみると20〜30万円ぐらいでゴロゴロ落ちてる。いやいや、趣味で使うには高えよ、と思う方もいるかも知れないが、ちょっと考えてみてほしい。

これは本物なのだ。レコードで聴ける、本物のエレクトリックピアノの音なのだ。アンプとスピーカーを搭載しているモデルを選べば、弾いたらすぐあの音が鳴るのだ。目の付けどころがシャープ過ぎる発想だと言わざるを得ない。

 

そんな話をしていたら、もうあっという間に頭の中はエレピで満たされた。エレピが居間にあったらどうだろう。差し当たってはフェンダーローズとか。

壁際に置いてみる。アップライトピアノよりは奥行きがあるだろうか。楽器でありながら家具のようでもある、独特の存在感。本体から伸びたクロームメッキの脚の間をルンバがちょこまかと通り抜ける。電気のピアノにお掃除ロボット。いつか誰もが夢見たようなレトロフューチャー

エレピ教室から帰ってきたこども達が、覚えたばかりの曲をさっそく連弾してみせる。ベンチソファの左に座った長男が、歪んだ和音をリズミカルに弾ませた。『レディ・マドンナ』だった。右側に腰掛けた弟は、床に届かない足をぶらぶらさせながら、主旋律を弾いている。節を間違えるとおもちゃみたいに笑う。兄も、つられて笑う。その様子を後ろから眺めていると、鏡面仕上げのコントロールパネルに二人の顔が映り込んでいるのが見えた。

 

楽しそうじゃん。めっちゃ楽しそうじゃん!

 

 

エレピのけっこう魅力的なポイントは、いちおうナマ音が鳴るところだ。どんな音なのか聴いたことはないんだけど。あとは外部出力もできるところ。ギター用のエフェクターも使えそうだし。

 

手始めにトイピアノにパッシブピックアップを取り付けて、エレピ化出来ないかと妄想していたのだが、目を付けていたカワイのトイピアノの発音体がアルミパイプだと知ってがっかりしているところだ。アルミじゃダメなんです!磁性体じゃないとマグネティックピックアップで拾えない。じゃあピエゾでいいかと言ったらそれもダメ。鍵盤のカタカタ音ばっかり拾いそう。発音体としてスチール製グロッケンを流用しようかとも考えたんだけど、けっこう高いし、メーカーもあんまり選択肢がない。

これはもう作るしかないだろうと、簡素なミュート機構を模索中。たぶんミュートできた方がいろいろ使えそうな気がする。

 

ウクレレみたいに、小さいけど楽器として一人前っていうものが出来たらいい。

 

エレピの好きな曲として、とりあえずノラ・ジョーンズを貼っておきます。ノラはウーリッツァーを愛用しているそうです。

FEELS LIKE HOME

Norah Jones - What I Am To You - YouTube

 

アルバムの2曲目だけど、映画の終わりみたいな雰囲気で最高。最&高。

 

コーンフレークのナチョス

食べ物

ナチョスはおいしい。

ニセコJoJo'sっていうレストランではじめて食べて、あまりのおいしさにもう1個頼んでテイクアウトしたぐらい好き。

 

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これがJoJo's。中でボルダリングもできる。名前に反して波紋もスタンドも関係ないので、能力者じゃなくても安心。

 

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そしてこれがJoJo'sのナチョスだ!うまいし、盛りが欧米感覚で、かなり多め。つまみっていうか主食張れるレベル。そこにシビれる!あこがれるゥ!(以降ジョジョネタ自粛します)

 

でね、当然おうちでも食べられたらなーって思うわけです。

ところが、まずあのトルティーヤチップスが売ってない。輸入食材が充実してるところだったら簡単に手に入るのかも知れないけどさ。地元では見当たらない。

そしてナチョスを作ろうとした人のおそらくほとんどが試したであろう、ドンタコスをチョイス。

……まあムリだよね。しょっぱ過ぎるよね。あいつらそもそもがしょっぱ過ぎなんだよ。塩分過多で殺す気かよ。もしかして数の子みたいに塩抜きしてから食べるやつなの? あ、でも適量の水を張った小鍋に、ドンタコスと野菜突っ込んで茹でたらうまいかも。今度やってみよう。

 

さて、じゃあ何を使ってトルティーヤチップスを作るかというと、コーンフレークです。材料は同じトウモロコシのはずだから、素質は充分。

 

以下、材料・作り方など。

 

材料

・コーンフレーク  食べたいだけ

・パスタソース(ボロネーゼ)  1人前

・とろけるチーズ  食べたいだけ

・香辛料  適量

 

作り方

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1.耐熱皿にコーンフレークを入れる。

2.パスタソースをかける。

3.チーズを乗せる。

4.温める。

5.完成!

 

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はしょり過ぎだろうか。

実際はラザニアみたいに、コーンフレーク、ソース、チーズが交互に折り重なるように盛り付けていったんだけど、完成したらまるで意味を見出せなかったので。とにかくコーンフレーク、ソース、チーズ、が温まっていればいいので、順序はどうでもいい。ていうか今JoJo'sの写真見たらチーズの上にソースかかってるじゃん。うちで作ったやつと逆じゃん。

温めたパスタソースにコーンフレークを混ぜ込んでからチーズ乗せてトースターで焼いてもいいし、ホットプレートで作ってもいいだろうし、なんなら電子レンジでもいい。とにかく上記の材料が温かいこと。それに尽きる。スパイスはクミンとかバジルとかタバスコとかでいいんじゃないでしょうか。お好きなものをどうぞ。

ソース変えたらいろんな味が楽しめるし、スパイスの加減でなんか料理やってるかのような錯覚も味わえるし。これを覚えたばっかりに堕落しないように気をつけたいところです。

 

「晩ご飯、時間ないからパスタでいいかな?」が「時間ないからナチョスでいいかな?」に変わりかねない、とんでもなく革命的にラクなメニューを発見してしまったので、一人でも多く巻添えにしようと思い、公開する次第です。

 

ほんとはコーンフレークを水でふやかして再成形してもいいだろうし、そもそもソースを自分で作ってもいいし、トッピングもブラックオリーブとかチリとか、いろいろ工夫できるので興奮してる。

コーンフレークに牛乳をかけるだけの時代は終わった。カレーでもなんでもぶっかけようぜ!

 

お酒のお供にもおすすめ!

 

 

大森靖子と仮面ライダー 2

映画 音楽 特撮

『ワンダフルワールドエンド』
監督:松居大悟
出演 :橋本愛蒼波純稲葉友
曲:大森靖子

 

ワンダフルワールドエンド [DVD]

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続きです。↓前回記事。

大森靖子と仮面ライダー - ジャガーノート

 

「絶対少女ムービー」とも銘打たれたこの作品。

 

 橋本愛さんが演じる主人公、詩織はなかなか芽の出ないアイドルだ。ファンを増やそうと、地道にツイキャス配信を重ねる。

橋本愛さんがかわいすぎて「売れないアイドル」という設定に無理があるのではないか、という指摘をいくつか目にしたのだが、現実はわりとそんなもんなんじゃないだろうか。かわいいだけで売れるんなら、橋本愛さんはあの演技力を備える必要はないだろうし。

 

詩織の恋人、航平を演じるのが稲葉友さん。劇団を主宰する若者の役だ。 ちょいスカした感じや、軽い上から目線に仮面ライダーマッハと似た空気を感じる。

 

いかにも演劇出身の松井監督らしい、劇団の日常会話を切り取ったような脚本も秀逸です。

 

 「あ…今日どれくらいだったんですか?」

「えーと、有料だと32枚です」

「うわぁ、きっつ!」

 

これとか、もうあるある過ぎてツラいよ。

そして橋本さんがすげえリアルな芝居するのな。たまにドキュメント観てんのかと錯覚するほどです。

そのせいか、観ていて終始そわそわする感じの映画だった。

 

 

多くの人に作品を伝えたい、というのはアーティストにとって共通の願いだ。

 

それは監督の松井大悟さんにとっても同じだろう。

インタビューでも語られているが、この作品自体、そもそもMVと同時に企画されていた映画なのだが、あたかもMVが映画に発展していくかのような見せ方が採られているのだ。

また松井監督自ら、ホテルで映画祭関係者のチェックアウトを見計らって、作品を収めたDVDを手渡した、というエピソードもある。

どちらも作品を広めるための戦略である。

 

大森靖子さんは松井監督に「昔は『ちょっと病んでしまっている』キャラを演じてただけ」だと明かしたらしい。そのキャラクターはプロモーションの一環であって、素の自分ではないし、表現したい本質でもなかった。

 

   理想と現状の差を埋めるために、何をすればいいのだろう。

 詩織がツイキャス配信を繰り返すのも、松井監督が映画祭関係者にDVDを渡したのも、大森さんがかつて病的なキャラを演じてみせたのも、動機は同じだ。黙って作品を提示して、評価を得られるほど世界は甘くないことは分かっている。

 

だが実は詩織はそもそも自分がどうなりたいのかすら分からず、あがいている。

 この映画を観ていると、詩織と同じようにあがいていた過去の記憶が呼び起こされ、恥ずかしいような、毒づきたくなるような、夜の散歩に出掛けたくなるような気持ちになる。

そわそわの正体は、これなのかも知れない。

 

 挿入歌の『愛してる.com』に、

 

「君のオススメに面白いものはひとつもなかった」

「君の落書きに斬新なものはひとつもなかった」

 

という歌詞が出てくる。

「斬新なもの」に「面白いもの」と並ぶ価値が与えられているのである。

 

その価値観は大森さん自身のものでもあるし、この映画にも反映されている。

ただ、斬新さにはどこか作為的な、あざとさのようなものが付きまとう。その作為の後ろめたさが、蒼波純さん演じる亜弓の持つ、純粋性への憧れに繋がるのだろう。亜弓は詩織のあがきを対岸から照らし出すために配置されているのだ。

 

だから、単純に百合とかそういうんじゃないと思うよ。これは。

 

 

 

 

お目当ての稲葉友さんに話を戻す。

劇中の「ふっざけんな!」っていう怒声が完全に仮面ライダーマッハのそれだったんだけど、女子に怒鳴ってたせいで情けなさもひとしお。無敵のヒーローがダメな若者になったり、女装したり(←『レンタル救世主』な)。

演じる役が幅広いので、観ていて楽しい。

 

今後の活躍も楽しみにしています!

 

え?次は根暗メガネ??

いいじゃん……。

 

 

 

ところで、こないだVシネマ版の『仮面ライダーチェイサー』を観たんだけど。

 

あの、Vシネって、こどもの頃はさ、なんかエロいもんだと思ってたの。いや、むしろエロビ(死語)のことをVシネマって言ってるんだと思ってたの。でも大人になって、Vシネマってそういうもんじゃねえ!って知って、赤面しつつ反省したよ。なんでもエロに結びつけるのはよくなくない?

 

で も さ 、

 

仮面ライダーチェイサー』って、微エロじゃね?まさか他のVシネライダー作品もこんなんなの????

いや待て、初心(ウブ)を気取ったって仕方ねえよ!それはわかってるよ!

でもさ……

事実、

半裸シーン、多いよね。

 

チェイスしかり、エンジェルしかり。

そしてみんなのメディックまで。。

 

 

地上波でも劇場版でもできないことをやれるのがVシネの強みなのかも知れないけどさー。微エロとか微グロ(多めの出血をやや懸念しました)とかじゃなくね?求められてんのはさー。

これ、マジでこどもに観れせる?もとい観せられる??

 

 

……ちょっと今からもう1回査定するわ。

 

 

 

 

大森靖子と仮面ライダー

特撮 映画 音楽

『ワンダフルワールドエンド』

監督:松居大悟

出演 :橋本愛蒼波純稲葉友

曲:大森靖子

 

 

前回『シン・ゴジラ』について書いたが(シン・ゴジラ - ジャガーノート)、実は特撮にはあまり馴染みがないまま過ごしてきた。小学生の頃に『仮面ライダー BLACK』『仮面ライダー BLACK RX』を楽しく観た記憶はあるが、特に平成ライダーシリーズを追いかけるわけでもなく大人になった。

 

ゴジラシリーズも同様に、冬休みに家族で狸小路の映画館に行き『ゴジラキングギドラ』を観たのは確かだし、その時劇場で買ったゴジラガシャポンはたぶんまだ実家にあるだろうが、そんなにハマらなかった気がする。

 

 

ところが2年前、いつの間にかこどもが仮面ライダーを見始めるようになった。まあ保育園の友達と話があったりするのかも知れないなと思い、子守りの一環のつもりで付き合って観てたら、めっちゃハマった。

 

今なお我が家で絶大な人気を誇る、平成ライダーシリーズ第16作目『仮面ライダードライブ』である。

 

まず特筆したいのは、『ドライブ』の脚本を担当したのが、あの三条陸さんだということだ。『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の原作者だと言えば思い当たる人も多いのではないだろうか。

ジャンプでドラゴンクエストのマンガを連載したい、という話が出た際、堀井雄二さんは「三条さんがやるんだったらいいよ」と快諾したらしい。

このあたりの話は詳しく書くと長くなるし、ググって出てくる以上の情報も知らないので特に書かないが、調べてみるとゾイド、特撮、アニメなど三条さんの幅広い活躍が見えてきて、とてもおもしろい。

 

ダイの大冒険』の連載は『ドラゴンクエストIV』の発売以前に始まった。それまで我々はあの世界で魔法がどんな風に放たれるのか、説明書や攻略本のわずかなイラストから想像するしかなかった。それをマンガで見事に表現した『ダイの大冒険』は革命的だった。もちろん三条さんの手腕だけではなく、稲田浩司さんの画力がなくては成り立たなかっただろう。メラとギラの違い、ギガデインの破壊力、そしてメガンテの切なさ……!!!!(←『ダイの大冒険』っぽい表現)

魔法だけでなく、アイテムの見せ方も優れており、鎧の魔剣や魔弾銃など、魅力ある武具が数々登場した。

 

マンガ原作者として活躍していた三条さんが特撮の世界に入ったきっかけは『魔法戦隊マジレンジャー』の、魔法に関するアドバイザーとしてだった。特にクレジットされておらず具体的な役割は不明だが、『ダイの大冒険』で示した魔法の系統建てや、「その魔法の名前は○○とカブるから使っちゃダメ!」とか、そんな感じのお仕事だっただろうか、と想像している。

 

特撮の監督が口を揃えて言うのが「三条さんは道具や設定の使い方がうまい」というものだ。仮面ライダースーパー戦隊シリーズには、劇中のアイテムを玩具化して販売するという命題が付き纏う。そのため脚本も、決まった時期に決まったアイテムを登場させさせなければならないなど、制約が多い。しかし三条さんはそのアイテムを軸に、ストーリーや戦いを巧みに展開させる。

 

中でも印象深いのは、仮面ライダーマッハが宿敵ゴルドドライブを撃ち破る場面。

 

マッハと共通仕様の変身ベルトを使用する仮面ライダーチェイサーがゴルドドライブに敗れたのち、マッハはチェイサーの遺した変身アイテムであるシグナルチェイサーをベルトに装填してチェイサーマッハに変身し、チェイサーの仇を討つのである。

ゴルドドライブにとどめを刺したのも、チェイサーが使っていたアックスタイプの武器だ。ギャグ的に盛り込まれていたかに思われた、アックスの攻撃準備完了の合図「イッテイーヨ」の間抜けな音声が、ダチの仇であり諸悪の根源でもあり、そしてなにより自身の実の父親でもあるゴルドドライブを討つ、マッハ/詩島剛の覚悟の表情と対位的に響き、観る者の心を揺さぶる。

「さよなら、父さん……。おれの未練」

『ドライブ』指折りの名場面だ。

 

そもそも共通仕様の変身ベルトというのは、完全にオトナの事情というかおもちゃ屋の都合というか。「下手に売れ残ってもアレだから、2号と3号のベルトはいっしょにしちゃいましょう!」という会議の中身が透けて見えるようだ。

それを逆手に取るかのようなチェイサーマッハである。「2人の力が合わさるとめっちゃ強い」という、実に少年マンガ的な展開が、共通仕様の変身ベルトによって無理なくもたらされる。

あんまり荒唐無稽というか、ぶっ飛び過ぎてると面白くない。その世界の法則を無視したご都合主義が頻発すれば、きっとこどもだって見抜くだろう。

 

 かくして三条さんの繰り広げる王道少年マンガ的ストーリー展開と、若手俳優らの熱演に完全に虜になり『仮面ライダードライブ』は、とても楽しかったのだ。

 

主人公、仮面ライダードライブ/泊進之介役の竹内涼真さんはドラマ『下町ロケット』や映画『青空エール』での活躍も記憶に新しい。

ヒロイン詩島霧子役の内田理央さんは今やMOREの専属モデルである。雑誌を開けば「あ、霧子だ!」とこどもが言う。

 

とすれば、なかなか表立った動きを見せない、仮面ライダーマッハ/詩島剛役を務めた稲葉友さんの活動が気になるのは当然だった。

モデルとしての活躍もうれしいが、やはり稲葉さんの魅力はあの陰りのある演技だろうと思う。特に、苦悩、動揺、怒りなど、ネガティブな感情表現に迫力がある。

他の出演作品も観たいと思い、辿り着いたのが、冒頭に書いた『ワンダフルワールドエンド』だった。

 

 

長くなったので次回に続きます。

 

 

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シン・ゴジラ

映画 特撮

シン・ゴジラ』を観ました。ひとりで。

周りで観た人がまだ誰もおらず、語りたい欲が沸騰しそうなので、ここに書いていいですか?

まだ観てないからダメ!っていう人は引き返してください。

 

書くよ。

以下ネタバレ含む。

 

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連休前の最後の仕事を終えて、さっさと映画館に行こうと思ったのに意外と長引いてしまい、結局最終上映に行くことに。

映画館にはわりと早めに着いたので、グッズ売り場をちらりと眺める余裕があった。小柄なニワトリぐらいの大きさのゴジラのフィギュアに目を奪われる。

おお、これがシン・ゴジラか!

(ポスター以外の予備知識ゼロで臨みました)

しっぽ長い!尾の先端が丸っこいのもやや違和感。手が小さめなのは、恐竜を見慣れているとむしろ普通に感じる。

 

そして、そいつの足元に、なんか横長の動物が2匹転がっていました。黄色っぽいやつと黒っぽいやつ。目がまんまるでな、ちょっとかわいい感じなんだよな。で、値札に思いっきり「第2形態」とか書いてあってな、「ああ、なるほど。今度のゴジラは変態するのか」と思いがけずネタバレするハメに。……まあ、そのくらい構わんけどさ。

いや、むしろ今振り返れば、この時点で躊躇せず捕獲しておくべきだった。翌日、買いそびれたパンフを求めて、再び売り場を訪れたときには第2形態、第3形態(だったかな?)ともに売り切れていました。ざんねん。

 

さて、田舎の夜の映画館はとても空いています。J列(前から10列目)のど真ん中を労せずして確保し、ポップコーンとコカ・コーラを携えて席に着く。そこより前には誰もおらず、後ろを振り返っても全部で7人ぐらいだっただろうか。

ガラ空きの映画館って最高だわー。

 

 

あらすじを書くつもりもないので、お気に入りのシーンをつらつらと書き残そうと思います。

 

 

・第2形態上陸

上陸しただけで津波級の大惨事を引き起こす巨体に戦慄。魚類さながらの無表情なまんまる目玉が、かわいいだけに余計に怖い。唐突にエラから吐き出される大量の体液も不気味。

ラブカっぽいと評判の第2形態だが、顔付きはウツボの方が似てるかも。

 

 

・攻撃中止

「射撃の可否を問う」のところ。

総理が「国民に自衛隊の弾は向けられん!」みたいなことを言って攻撃は中止に。ネットでは「保身」「先延ばし」など散々叩かれてる対応だけど、人の生死がかかってるんだぜ?

会見で巨大不明生物の上陸可能性を否定したときも、「はっきり言わんと国民は安心せんだろ!」とか言うし。きっと根が優しい人柄なんだよ。大杉漣さん、ハマり役でしたね。動揺の演技が素晴らしい。

 

 

放射能熱線

米軍の地中貫通爆弾に被弾した直後の、ゴジラの反撃。反撃っていうより、邪神が怒りに任せて引き起こす天災のようです。逆鱗に触れた、というところか。うつむき吐き出される煙は初代ゴジラのオマージュだろうか。やがて黒煙は火焔に変わり、東京の街を覆う。あまりに広範囲にわたる炎にしばし呆然。

そう、第2形態上陸の場面も同様だが、呆然としてしまうのだ。どうすんだよこれ……って考えが停まってしまうほど、取り返しのつかない大惨事。ライムスターの宇多丸さんは、東京が燃えるこの場面で泣いたと言っていた。

光線を吐き出す前の、下顎が左右に開くところは大蛇のようだし、眼を覆う瞬膜は、攻撃の瞬間に白目を剥くホオジロザメを連想させる。怪獣の凶暴性が強調される斬新な描写。

この場面で流れる曲もいいです。サントラ買わなきゃ……!

 

 

・ラスト

しっぽの先。たまんねえな。このカット。

 

 

 

 

シン・ゴジラ』、ゴジラはもちろん、登場人物や彼らの振る舞いも、大きな魅力となっている。

個人としては権力も武力も持たない人々が、それぞれの職務を全うすることで巨大なゴジラに立ち向かう、という部分が一番アツい。アポロ13号の危機に挑むNASAみたいな印象です。

まあ、我々は日々仕事をして暮らしているわけで。どうせやるなら、きっちり仕事した方がいいだろうと思っているので、この映画の登場人物の見事な仕事っぷりには感動しました。巨災対にはボンクラとか自己中な感じの人がいないんだよね。単純に憧れちゃう。勉強しようっていう気になる。

例えるなら『ベストキッド』観たあとに空手やりたくなる気持ちと同じ。

 矢口蘭堂とか尾頭ヒロミとか赤坂秀樹とかさー。かっこよすぎじゃないですか!

カヨコは。。ちょっと雲の上過ぎて目指せない。短期間であんな早口の英語の台詞仕込むとかムリだろ。いや、それはカヨコじゃないのか。石原さとみさんなのか。ともかくマジで尊敬した。

 

あと、はたらく自動車が活躍するのも見逃せないポイント。

無人在来線爆弾が炸裂するところ、めちゃくちゃグッと来る。なんだろう、物言わぬヒーローが無私の心で活躍するこの場面に既視感が……。と、感情の端っこをたぐってみたら、スズメバチを蒸し殺すミツバチと繋がっていた。この感じだったか。

 

 

最後に、この映画で無視できないのは、放射能核兵器原発に関するメッセージです。総監督の庵野秀明さんは、それらのモチーフを様々な形で作中に散りばめている。明確な答えは出していないように思う。ゴジラの凍結も、過程に過ぎない気もする。

 

啓蒙や教育も、映画の持つ機能のひとつであるかも知れない。でも学研マンガみたいな映画を作っても、誰も好んで観ないだろう。

 

圧倒的な存在感のゴジラとすてきな登場人物を描いたこの映画に、我々が忘れてはいけないことが綿密に織り込まれている。あとは、映画を観た人にそれぞれ考えて欲しいということなんだろう。

傑作だと思います。

 

 

こういう話を、映画観たあとに深夜のファミレスとかで、パンフ広げてコソコソ話すの超楽しいよな。

 

 

ダチョウの卵と好奇心の部屋

生きもの 食べ物 工作 読書

ダチョウの卵を手に入れました。

母が「孫のために」と買いに行ったのですが、下の子も欲しがると思うから、ということで2個届いた。。

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ダチョウの卵1個で鶏卵20個分の量があると言われています。つまりダチョウの卵2個で、鶏卵40個分の量があるわけです。てことはこの写真1枚に鶏卵41個分の量があるんですよ!(しつこい)

重さは1個1.5kgぐらい。この量はヤバい。

有精卵だから日持ちするよ、とダチョウ牧場のおじさんが言ってたけど、ナマモノなのでなる早で食い切りたいところです。週末に意を決して割りました。

めずらしいことなので、ちょっとその割り方などを記録に残そうと思います。

 

 

まずは流水で卵の表面を洗います。雑菌とかこわいので、仕上げに水の劇落ちくんで除菌する。

 

余談ですが、我が家は田舎ぐらしなので、水道が引かれていません。なので、水は地下水を使用しています。地下水生活が長いと、水道の塩素のにおいにとても敏感になります。洗濯物なんかも、水道水で洗ったものは洗剤の香りの奥に塩素のにおいを感じる。消毒されてるなーという涼やかな清潔感があって、好きなにおいです。ないものねだりなんだろうけど、蛇口をひねるだけで塩素入りの水が出てくるのはかなり便利だと思います。

加湿機も、地下水だと雑菌がわくので使えません。地下水にわざわざ塩素を足して使っているんだよ。。めんどくさいよ。

ついでに書くと、塩素のない地下水生活で肌や髪が健康になった!みたいなことはまったくありませんでした。もともと家族全員、肌が弱いのですが、ことさら改善もせず悪化もせず。塩素除去機能のついたシャワーヘッドとかもあるけど、うちは引っ越しても使わないかなー。水道水の残留塩素程度だったら肌には全然影響ない、というのが実感です。

 

さて、話を戻して。

 

まず、穴を開ける位置を決めます。スマホのLEDライトを卵に直付けすると、気室が透けて見えます。気室を上にして、卵を小さいボウルに固定します。

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各種得物を取り揃えまして、どうやって穴を開けようか検討。

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1.千枚通しを金槌で叩いて、卵に小さなキズを付ける。

2.ドリル。

の手順が楽かなー。

活躍したのは愛用のBosch IXO。以下の記事で紹介しています。

Bosch IXO バッテリードライバー - ジャガーノート

 

6mmのドリルを使いました。貫通するのにけっこう時間がかかります。

 

さて、穴が開いたらもう写真を撮っている余裕はありませんでした。以下、文字のみです。

中身を取り出すために大きめのボウルを用意します。大は小を兼ねます。家中でいちばんでかいボウルを使いましょう。脅すわけではありませんが、どんぶり程度の大きさだとあふれるかも知れないぜ?(脅し)

卵の穴を下に向けて、曲がるストローを差し込み、息を思いっきり吹き込みます。空気が入っていく感じはありませんが、卵内部の気圧は高まっているはずです。そして圧を保ったままストローを素早く抜くと、穴から卵白がどろどろーっと流れ出てきます。ストローを抜く前に息を吹き込むのを止めてしまうと、生卵が勢いよくストローを逆流することになりますので、お気をつけください。

卵白が流れ出る様子をそばでみていた子供が「なんか鼻水みたいだねー」と言うので、食欲が失せるからやめろと伝えました。しばらくすると、またなにか思いついたらしく、「あ。そうだ。よだれみたいって言うのはどう?」って言い出した。どう?じゃねえよ。。

 

大まかには卵白→卵黄の順に出てきます。なのでうまく取り分ければ、メレンゲとかも作れるんじゃないかな。

 

中身をきれいに取り出せたら、穴をもう少し拡張して内部を水洗いします。水を切って乾かしたら、卵の標本の完成!やったねー。

 

できたよーって子供に見せたら、卵に絵を描くんだと言っていました。

そうか。絵を描くのか。。もっと博物趣味のあるやつだと思っていたけど。ダチョウの絵を描くんだってさ。まあ子供らしくてかわいいね。

 

 

好奇心の部屋デロール (たくさんのふしぎ傑作集)

好奇心の部屋デロール (たくさんのふしぎ傑作集)

パリにあるデロールというお店を紹介した本。デロールには博物館と見間違えるほどの、剥製や標本が大量に陳列、販売されています。地元の子供達が剥製をなでている写真が載っていて、動物園や博物館とは違う、こんなふうな動物との親しみ方もあるんだなーと感じました。店の雰囲気もとてもすてきです。

なぜ唐突にデロールの話を持ち出したかというと、この本、ノンブルのデザインがダチョウの卵なんです。

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「好奇心の部屋」っていいですね。うちにも作ろう。

 

うみねこ博物堂もいつか行ってみたい。

うみねこ博物堂

 

 

第2理科室を思い出すな。