ジャガーノート

本や音楽の話を書いていこうと思います。

ゼルダの伝説 その8

「行き止まりの木には秘密がある」

何度もそう呟きながらハイラルの大地を放浪する。眼鏡岩がデスマウンテンだとするならば、次の迷宮を示すヒントはもうこれしかない。行き止まりの木と聞いて思い当たるのは、南西の角の枯れ木だ。だが、その枯れ木には爆弾もローソクも効き目がない。ここは外れのようだ。

結果から述べると、それは全く偶然に発見された。見当を付けた枯れ木とは反対側、南東の森で出くわしたモリブリンの大群をローソクの炎で退けようとしたところ、唐突に謎解きのメロディーが鳴った。階段が現れる。一瞬なにが起こったのか分からなかった。モリブリン達と戦いながら考える。もしかしてこれが行き止まりの木だったのか?そういえば確かに行き止まりだ。それがローソクの炎で燃えたと。枯れ木がびくともしないのに葉を付けた木が燃え上がるのは妙な気もするが、ともかく道は開けた。

レベル8の迷宮は部屋が少なめなので探索に迷うことはない。順調に進み、バイブルを手に入れた。これでマジカルロッドに炎の力が宿る。『夢をみる島』でのマジックロッドはかなり強力だったが、本作でのマジカルロッドは絶妙に使いにくい。連射も効かないうえに、自分で放った炎に触れるとダメージを受けてしまうのだ。これならバイブルを入手する前の状態の方がよかったのでは…とつい罰当たりなことを考えてしまう。

「デスマウンテンで矢を探せ」とのヒントを授かる。矢か。そういえばマジカルソードまだもらってなかった。無双状態でスムーズに探索したいので、迷宮を抜け出し墓場のじいさんに会いに行く。いつの間にかマジカルソードを使いこなせるようになっていたらしく、無事に最強の剣を授かる。意気揚々と再び迷宮へ。

だがマジカルソードを携えても無双とは程遠い。最初の剣と較べれば4倍の攻撃力を誇るものの、まだまだ敵は手強い。タートナックみたいなフル装備の騎士に囲まれて、少年ひとりでよく戦っているよとリンクを褒めてやりたくなる。逃げ回りながら隙を付いて斬る。飛び道具でも爆弾でも使えるものはなんでも使う。リンクは決して最強の剣士ではない。リンクの弱さがゲームのアクション性を豊かにしている。

力のトライフォースを奪ったガノンに対抗するため、リンクは迷宮に隠された知恵のトライフォースの小片を集める。その小片とは、プレイヤーの知恵と経験そのものなのだ。ここまで来たプレイヤーなら、テスチタートは爆弾1発で倒せることを知っている。真っ向勝負では分が悪い。この知識がリンクの最大の武器だ。

そう思いながら説明書を読み返してみると、ガノンの手下に囲まれたインパをリンクが救う場面では「巧みに手下達を混乱させ、インパを救い出したのだった。」とある。力に対して知恵を働かせて立ち回るリンク。この構造は初めから明確に示されていたのだ。なんという巧みなゲームデザイン。これがゼルダの伝説なのだ。すげえ。

 

続く。