ジャガーノート

本や音楽の話を書いていこうと思います。

Perfume FLASH

PerfumeFLASH

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[Official Music Video] Perfume 「FLASH」 - YouTube

 

 

中田ヤスタカさんは以前からテーマに合わせた作品作りがうまいが、映画『ちはやふる』の主題歌でもあるこの曲の、めくるめくかるたモチーフの炸裂っぷりはすごい。

 

火花のように FLASH

光る 最高の Lightning Game

鳴らした音も置き去りにして

 

とか、もう完全にかるたのことしか歌ってないし、サビで思いっきり「ちはやぶる」って歌ってるし。そして、間奏でギュルギュル唸るシンセの推進力よ。

 

中田さんがよく使う、ハンドクラップを深いリバーブで ズパ————ン‼︎って飛ばす音が大好きなんだけど、それを聴くといつもこの曲の「鳴らした音を置き去りにして」の部分を思い出してしまう。前の小節で鳴らしたハンドクラップの残響が、次の小節の4つ打ちにぐいぐいと押しのけられて、音量が揺れるじゃないですか。曲が躍動するじゃないですか。たまらん。

CAPSULEの『Sugarless GiRL』で、おなじみのハンドクラップ+リバーブに合わせて、中田さんが目を見開くシーン、超かっこいいよな。聴きながらこっそり真似しちゃうよな。こんなふうに残響を自在に操れるのは、録音作品のおもしろさのひとつだ。

 

 

以前、三宅純さんが情熱大陸で、リオオリンピック閉会式での『君が代』について語っていた。スタジアムの残響を考慮して、和音が濁らないように間をとってあるっていう話がおもしろい。天然リバーブは長さをコントロールできないから(あたりまえだ)、それに合わせて編曲しますよっていうスタンスに、なんだか目からウロコだった。和声を複雑にしたいから、じゃあフレーズの間隔あければいいじゃんっていう逆転の発想に脱帽。

 

 

話を『FLASH』に戻す。

このミュージックビデオ、Perfumeの3人が中国拳法の演舞みたいなのをやってるんだけど、素早く細かいカット割りや、身体性を強調する、透け感+ひらひらの衣装がかつてないかっこよさ。設計図のような素っ気ない白線のエフェクト。そして、ちょこっと差し挟む手裏剣ポーズ。

Perfumeはこういう確信犯的な外しというか、あえてズラしつつ誇張した、虚構的ニッポンみたいなのがよく似合う。

 

Perfumeらしさ、曲との調和、見せ方の新しさなど、様々な点で大傑作なMVだと思います。

 

 

宮澤 余市