ジャガーノート

本や音楽の話を書いていこうと思います。

LAMY safari フリクション化計画

「LAMY safari ボールペン」に、消せるボールペン「PILOT フリクションボールノック」の替芯(リフィル)を突っ込めるように改造を施したので、その方法をまとめました。

 
これがサファリです。
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フリクションはこれ。
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ペン先の加工(先端編)
まず、フリクションの芯がサファリのペン先を通るか試してみると……。
つっかえて通りません。フリクションの方が太いです。
フリクションの芯の直径(先端の金属部分)はおよそ2.5mm。
目測で当たりをつけて、試しにフリクションのペン先に、2.5mmのドリルの刃をそっと差し込んでみると……。なんということでしょう、ぴったりです。
 
ジャキーン。
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まさか、フリクションの替芯は、他のペンに装填されることを期待しているのでは……?
ペン本体よりも替芯を売ることで稼ぐ作戦なのか?
 
ど素人の工作で半端なサイズに加工するのはとても面倒くさ…いや難易度が高いのです。それがこんなキリのいい数字だなんて。
他の替芯より、ちょっと太めなのもあやしい。穴を縮小するのは結構な手間ですが、拡張するだけなら簡単だもんね。
こうなると、別売りのフリクション専用消しゴム、「フリクションイレーザー」の存在もなんだか勘繰らずにはいられない。
「替芯で稼ぐ」と考えれば、フリクション本体のあの……なんというか、控えめに言って微妙なデザインも納得です。なんであんな男子小学生向けなデザインなんだろう。ちょっとスポーティー過ぎるというか……。瞬足みたいだよ。
 
個人的な趣味で言うと、ロゴの蛍光色が致命的。
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前置きはこのぐらいにして加工していきます。
 
ペン先の内側からドリルで穴を広げます。あっという間。1秒で貫通します。電動ドリルがなければ替刃だけ買ってきて、手作業でやっても大した時間はかからないはず。
 
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ペン先の加工(内側編)
さて、加工済みのペン先に芯を挿入してみると、まだ干渉するところがあります。無理に入れれば入るけど、そのあと振っても抜けないぐらいキツい。
 
サファリの芯に紙やすりを巻きつけて、ペン先の内側を少しずつ削ります。
 
ぐりぐり。
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ここには保持力を求めない方がいいでしょう。芯を差し込んだペン先が、逆さにすると落ちるぐらい、ゆるゆるにしたい。ただし、厚みに余裕がないので削り過ぎに注意してください。現物合わせでマメにサイズを確認しながら進めます。
 
 
芯の長さの調整
フリクションの芯の方が長いのでサファリの芯に合わせて短く切り詰めます。
柔らかい素材なので、鋸よりナイフでバツンとひと思いに切断するのが楽。
ちょっと長めに切って、ノックの感触を確かめながら調整すると失敗しないよ。
(↑短く切り過ぎて1度失敗した…)
 
切り過ぎた例。
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スプリング
フリクションに付いていたスプリングを使います。無加工です。らくちん。
 
 
組み込み
組み込みます。
……特になにも言うことはありません。
 
 
完成
無事完成したでしょうか。サファリをまとったフリクション。いや、フリクションを装填したサファリと言うべきか。
 
正直に申し上げると、今までフリクションが好きではありませんでした。ペン本体のデザインもさることながら、あの水っぽいうすぼんやりとした発色が嫌いで。
でも、職場ではけっこう使ってる人が多くて、試しに使ってみたらやっぱり便利なんですね。消せるから。いまさらだけど。
あと、ボールペンとしてはパッとしない発色でも、鉛筆代わりにメモ書き用として使うと見やすい。To Doリスト的なやつをフリクションの赤と青でザザッと書くと視認性抜群です。
黒は……ダメだな。薄墨みたいで辛気くさい。
 
 
ところで、仕事用としてはいちおうその価値を認めざるを得ないフリクションですが、プライベート用としてはどうでしょうか。
 
今回みたいな工作のアイディアや設計図、はたまた友達から教えてもらったおもしろ動画、おすすめ曲なんかを書き留めるために、モレスキンを使っています。ピカソが愛用したことでおなじみの、革の表紙のノート。
余談ですが、同じくピカソが愛用したというフランスのナイフ、オピネルもうちに3、4本ある。ピカソさんとは趣味が合うな。
 
モレスキンにはいままでフリクションを使っていました。消せるから便利かなーと思って。
フリクション嫌いだったのにね。
せっかく高級なノートだから、きれいに使いたいわけですよ。あんまり書き損じとか残したくなくて。ブルーブラックのインクならあの水っぽさもまだ許せる。
 
ところが、今回の改造にあたっていろいろなサイトを閲覧しまくったのですが、「フリクションで書いた文字が消えるトラブル」ってのがちらほら。「炎天下の営業車に手帳を放置したらスケジュールが全消し(笑)」とかマジで笑えねえ……。
 
 
工作やら発明やらおもしろ動画の数々を記したこのモレスキン、立派な装丁ゆえに死後も大切に保管されて残るかもしれない。だが、フリクションインクの耐久温度は60℃。これを超えるとインクの色が失われてしまう。
モレスキンが夏のクソ暑い納屋にしまわれたり、引越しの際にダンボールごと車内に放置、ということも充分考えられる。
 
そしてある日、子孫が紐解いたら白紙のノートが、ってこれもうほとんどキテレツ大百科じゃん。
 
 
やっぱりモレスキンにはふつうのペンで書くことにしよう。
 

鮮緑の城壁(イタドリを伐採する話)

イタドリの新芽をひとつ見つけたら、地中にはその10倍の芽が潜んでいる。

 
新芽の数を数えて後ろを振り返ったら、もうひとつ増えている気がする。
 
 
赤や紫の毒々しい色の新芽は摘んでもすぐ生えて来るし、摘み残した芽はあっという間にニョキニョキ伸びます。伸びたイタドリをよく研いだナイフで薙ぎ払うと、ノコノコを踏んづけたときのように小気味よくポコッと鳴る。茎の中が空洞だからだろうか。たのしい。ポコポコ切っては崖下に放り投げる。崖の下には枯れたイタドリが雪の重みでぺしゃんこに潰れて積み重なっています。去年の分だ。たぶんその下には一昨年の分。そこはきっと虫達の恰好の住処になっているんだろうな。
 
イタドリの節の中にはたまにイタドリムシと呼ばれる、コウモリガの幼虫がいる。
「節を割ると中からかわいらしいコウモリガの赤ちゃんが…。」
なんてまるで竹取物語のようですね。ていうかこれだとイタドリ物語ですね。
コウモリガの成虫は餌を摂らないらしい。もの思いに耽っているわけではないが、ちょっとかぐや姫っぽくないですか?月夜に羽ばたいて行ったりすると尚更よくないですか??
……あの地味なルックスだと無理あるかな。
 
イタドリムシは川魚を狙う釣り人に人気があり、けっこういい値段で売れるようです。1匹100円だとか。いい値段の基準は人それぞれ。まあ釣り餌として高価なのはわかるが。
とはいえいったいどこで売ればいいんだろう?国道沿いでメロンとかトウキビとか売ってるあの感じで、しれっと屋台を組めばいいのかな?「爆釣!イタドリムシ」とかのぼり立てて。
 
 
「イタドリムシ」で検索すると、トップに来るのは「イタドリムシ食べました」の記事。釣り餌情報より上って……。他にも食べた系の記事がちらほら。人の食への好奇心というのは果てしないですねー。「ざざむし。」や「野食ハンマープライス」など「いろいろ食べてみる系」のブログを読んでいると、毒がなければなんでも食えるのかなと思います。気持ちの問題なのかなー。
 
 
 
 
イタドリ自体も若いうちは食えるらしい。ウソだと思うならクックパッドで見てみてください。めくるめくイタドリレシピの数々。
 
でもあんまり食べ過ぎると体によくないらしいよ。シュウ酸がどうとかってグーグル先生が。
 
 
イタドリと格闘していると星新一さんの「繁栄の花」という話を思い出します。(思いがけず本の話に漕ぎ着けることができて驚いています)
宇宙人から贈られた花をこっそり増やしてしてしまい……。やめた。ショートショートのあらすじなんて無粋な真似はよそう。「宇宙のあいさつ」に収録されていますよ。
 

 

宇宙のあいさつ (新潮文庫)

宇宙のあいさつ (新潮文庫)

 

福島に住んでいる友達から、イタドリ対策としてヤギを飼うという話を聞いたことがあります。刈っても刈っても生えてくるので、ヤギに食わせるんだって。レンタルヤギのサービスがあるそうな。一瞬なにそれうらやましい…!ってなったけど、よく考えたらイタドリをウンコに変換する装置なんかぜんぜんうらやましくなかったわ。別にヤギ好きじゃねえし。

5、6羽ぐらいのウサギの群れが協力してイタドリを殲滅する!とかだったらかわいいのに。ウンコの処理も進んでやるのに。

 

例年、春から初夏にかけてはイタドリを刈るのにやっきになっているのですが、暑くなってくるともうまったく勝てる気がしないくらいの勢いで茂り出すので、「緑のカーテンもいいかもね…」という気持ちになり伐採を完全に諦めるのがお決まりのパターン。実際、真夏のイタドリは「緑のカーテン」などという生ぬるいレベルではなく、もはや「鮮緑の城壁」と呼んでも差し支えないくらい強固な仕上がりなので、さながらイタドリの軍門に下ったかのよう。家ごと囚われてしまうのだ。

 

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灯油タンクがイタドリに食われそうだよ。

ヒグマの本(主に慟哭の谷)

屋外からヒグマが人を食む音と悲鳴が聴こえてくる。


シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)
 
以前「シャトゥーン ヒグマの森」をちらっと立ち読みしたらそんな感じの描写があって、「生きながら獣に食われるのってなんかウソくせえな。こわいし」と思い本を閉じてしまいました。
なぜならその頃は、「野生の獣は獲物を苦しませることなく絶命させる」なんて与太話を信じ切っていたからです。(マジで)
あと「魚は痛みを感じない」ってのも信じてたっけ……。アホか。魚だって痛いに決まってんじゃんか!よしんば哺乳類的な痛覚がないとしてもだよ?身を切られれば切られたなりの「命に関わる大ケガの予感!!」みたいな警報が魚体を駆け巡るもんなんじゃないの?それを人は痛みと呼ぶんじゃないの?フカヒレなんて二度と食わねえからな!!……うまかったけど。うまかったことは覚えておくけど。
 
話が逸れました。
獲物との力の差が小さければ、捕食者としてもさっさと締めないとヤバいというのは想像できる。ライオンだって、獲物(ウシ科)に蹴られて大ケガとかツノが刺さって大ケガとか絶対いやだろうし。
 
逆に言うと、捕食者に身の危険がないのなら別に食う前に殺さなきゃいけない理由もありません。ひれを切り取ったサメを生きたまま海に棄てるのと同じですね。むごいー。
 
世界最悪の獣害事件と言われる「三毛別羆事件」は、この残酷な事実を否応なく突き付けてきます。人間とヒグマの圧倒的な力の差に慄くばかり。
ウィキペディアの迫力ある記述も有名ですが、現在この事件の詳細を知ることができるのは木村盛武さんの「慟哭の谷」のお陰です。
 

 

慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)

 

 
事件の生存者に直接取材しており、現場の状況や仔細なエピソードが図を交えて記されています。誰がなんて叫んだか、なんてことまで書かれてる。克明に描かれた事実の合間で木村さんの感想が語られるのですが、取材する中で感じたであろう無念さや恐れが浸み出して来るようで、読んでいて怖くなります。
 
ただ怖いというだけでは、大勢の人が亡くなったこの事件の読み方としてやや不謹慎な気もしますが、
 
ヒグマこわい。
こわいから遭遇したくない。
遭遇しないためにあいつらの習性が知りたい。
人とヒグマが出会わないウィンウィンな関係。
 
という結論が導きだせるので、ぜひぜひ大勢の人に読んでいただきたい。そしてヒグマのみなさんには、なにとぞ人里に降りてこないようにお願いしたい。うちの近所にも出るんだよ…。かんべんしてくれよ……。
読書がにがてーっていう人には、漫画版のシャトゥーンでもいいかも。ちょっとぶっ飛んでるけど、ヒグマのヤバさは充分伝わるはず。
 
 
北海道ではキツネの危険性(エキノコックスね)については、幼い頃からかなりしつこく叩き込まれるのですが、ヒグマの恐ろしさとなると、ネイティヴの道産子でもけっこう疎かな人がいる。
 
とりあえず、
・時速60kmぐらいで走れる
・火を怖がらない
・木登りも得意
・執着心がやたらつよい
・車にはねられても平気
あたりの情報は義務教育で仕込んでほしい。
 
 
ところで、木村盛武さんの別の著書(タイトル忘れた)でヒグマの陰茎骨が紹介されていて、「陰茎骨ってなにそれしらない」ってなっていろいろ調べてみたんだけど、哺乳類はけっこうみんな骨入ってるんだって。骨がない方が珍しいらしいよ。我々は仲間外れだったのだ。
 
でもまあ、もし骨折したらとか考えたらない方がしあわせな気がするよ。

ときめき昆虫学

メレ山メレ子さんの「ときめき昆虫学」を読み終えました。

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これ、田舎の本屋には置いてなくてな……。札幌に行って探すんだけど、まずどこのコーナーに置いてるのかなーってところからスタート。ペット、アウトドア、旅行など、ありそうなコーナーをひと通り漁るが見当たらず。人目を気にせず(気になるけど)女性エッセイコーナーも物色してみて、やっぱりない。どこにもないよー、と2週間ぐらい探して、澄川の大型書店コーチャンフォーでやっと見つけました。住んでる土地のど田舎っぷりを恨む。恨むぜ……。
 
大型書店には昆虫コーナーがちゃんとあるので、ムダに女性エッセイコーナーをうろつく必要もありません。面出ししている「ときめき昆虫学」第2刷を手に取り、その後、棚にささってた初版となめらかに取り替えっこ。(むやみな初版信仰)
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帰宅を待たず書店内のミスドでドーナツをパクつきながら読む。
いろんな虫の話が全部で20章収められていて、どっぷり浸れます。コーヒーのおかわりも止まりません。内容も章ごとに飼育、観察、遊び、採集、研究、実験、食などさまざまで、読み終わったあとに目次を眺めると軽く混乱します。
クモ、ダンゴムシ、カタツムリなど昆虫以外の生き物が載っているのが、またいい。ファーブル昆虫記にサソリの章があったみたいな感じ。
個人的にはチョウ、カイコ、オサムシの章が特に好きでした。中でもカイコを飼う話は感動的です。小学校で飼ってたカイコのために桑の葉を採集した日々を思い出すよ。。
 
我を忘れてひとつのことに熱中してしまう人の話はハズレなしだと思います。熱中している様子がそもそもおもしろいので。
 
読みながら、昆虫採集に命を懸けていた少年時代の気持ちがふつふつと思い出されてきます。実際命が懸かってたのは虫達のほうだが。あとはエーミールのことかな……。
 
たまに虫の写真をスマホで撮るんだけど、あの、facebookとかにはアップしにくいじゃないですか。
いまでは抹殺したゲジゲジを拾うのにティッシュ4枚ドローするぐらい虫耐性(特に接触耐性)が落ちてしまいましたが、いい感じの写真が撮れるようにiPhoneの外付けレンズを探し始めちゃってるぐらい虫への興味が湧き上がってきてます。
 
ときめき昆虫学」、おすすめです。